写真をミニチュア・ジオラマ風に! チルトシフトレンズやアプリを使わずカメラ内で加工する
実写で模型を撮影したかのように見えるミニチュア写真。
PENTAXのK1 Ⅱには、「ミニチュア」というデジタルフィルターがあり、撮影した写真を疑似的なジオラマ風に加工することができます。
デジタルフィルター「ミニチュア」の選択画面
擬似的と表現したのは、本来は画像加工ではなく「チルトシフトレンズ」という特殊な構造のレンズを使用して撮れるものだからです。
ミニチュアっぽい写真を撮るには、「人間が小さいものに目を近づけたときの見え方」をシミュレートすることになる。シンプルに言えば、「焦点をあわせた場所以外が強くボケつつ、色が鮮やか」であればよい。 加工なしで撮影する場合、これにはチルトレンズという特殊なレンズが必要となる。チルトレンズは、レンズの方向を斜めに曲げられる、キモいレンズ。 ミニチュア風写真を10年ほど研究して学んだポイント
その手法や歴史については、深津さんの書いた記事が大変参考になりますのでここでは割愛します。
各社様々なチルトシフトレンズを製造していて、PENTAXが販売する純正のチルトシフトレンズもあるのかと探した所、
オリジナルは1976年(40年前!)に発売されています。それ以来、マウントが変更されることなく2003年のカタログでも販売されていたことを確認しました。 ミニチュア風写真を10年ほど研究して学んだポイント
smc PENTAX SHIFT 28mm F3.5 という40年前に発売された「シフトレンズ」はありましたが、Kマウントで使用できる現行品は、SAMYANG が販売しているチルトシフトレンズのみでした。(もし他にもあったら教えてください)
レンズがなければ画像加工! デジタルフィルター「ミニチュア」を使ってみる
ミニチュア写真を撮影できるチルトシフトレンズはどれも高価で手を出しづらく、古いと入手も大変です。しかし「機材を準備しなくては作れない」というわけではなく、例えば画像加工ソフトPhotoshopでは、
チルトシフト」という機能があり
(「フィルター」から「ぼかしギャラリー」→「チルトシフト」を選択)
このようにソフト上で加工することができます。
PENTAX K1 Ⅱのデジタルフィルターでは、この加工をカメラ内で行えるのでPCが必要だったり、アプリをインストールする必要はありません。
ミニチュア風の加工と相性がいい写真
撮影した写真をミニチュア風に加工しやすいシーンは、都市景観や街並みを俯瞰し角度がついたものです。手前と奥にボケ味をつけることでそれっぽい写真になります。
加工に選んだ写真は、
SHIBUYA SKY(渋谷スカイ)展望施設で撮った渋谷スクランブル交差点と
宮益坂の交差点前の写真です。どちらもFA31mmF1.8AL Limitedを使用しています。ちなみにカスタムイメージは高コントラストと独特な色味が特徴的な「ポップチューン」のほぼデフォルト値を使用しています。「ミニチュア」の加工とも相性がよいです。
これらの写真にデジタルフィルター「ミニチュア」を使ってみましょう。
設定画面には4つの項目があり、上から
・芯の位置
写真のどの位置にするのか7段階で設定
・幅
ボケ味までの幅を3段階で設定
・角度
縦・横・斜め(右・左)の4種類を設定
・ぼかし
ボケ味の強さを3段階で設定
芯の位置は交差点と往来する車に合わせ、幅は大きめにぼかしも最も高い数値で設定してみました
いかがでしょうか・・・
もっとジオラマっぽく仕上げたい気持ちもありますが、ボケ味がついてそれっぽい写真には仕上がりました。
欲を言うと手前と奥にボケ味ができるので前後に建物が入った構図でかつ、中央の被写体を強調した構図だともっとそれらしい写真になります。できれば中望遠以上(100-200mm)で撮ると効果を実感しやすいでしょう。そのうち作例ができたら追記したいと思います。
まとめ
PENTAXのデジタルフィルターは個性的なものが多く一昔前の画像加工アプリに同梱されていたオールディなものが揃っています。使いやすいフィルターとしては、「ベースメイク」「レトロ」「シェーディング」「トイカメラ」はカスタムイメージと併用すれば表現の幅が広がります。「ミニチュア」のフィルターも楽しむひとつのツールとして使ってみてはいかがでしょうか。