HOME カメラであそぶ テーマで撮ってみよう 【雨にうたえば:番外編】雪に躍る森の風景 ─ 埼玉県武甲山(秩父市・横瀬町)

【雨にうたえば:番外編】雪に躍る森の風景 ─ 埼玉県武甲山(秩父市・横瀬町)

公開日:2021-02-01 ライター:タケル カテゴリ:テーマで撮ってみよう

雨の降らない関東

雨が降ったら綴るシリーズ「雨にうたえば」ですが、10月の半ばから関東ではほとんど雨が降らず、すっかり忘れかけていました。寝ている間に少し降った形跡があるなんてことは数度あったものの本当にまとまった雨がない。どうしようと考えていたところ「あぁ、そういえば雪ならあったな」とすこし無理矢理ながら、番外編として筆を進めてみようと思います。

たかが雪、されど雪。雪が舞えば世界が一変する。

雨のシリーズに雪というのは強引な気もしますけど、訪れたのは埼玉県は秩父地方の象徴とも言われる武甲山。雲海と工場夜景の後ろに聳える、石灰岩の採掘でピラミッドのようにも見える異様な威容が収められた写真を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

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大きな山体に刻まれた現代社会の営みと、それが市街地のすぐそばに聳え立つ光景は功罪両面においてとてもドラマチックです。しかし裏に回り登山口に立つと、そこに広がるのは多摩から秩父にかけての多くの山々と同じくあまり面白みのない杉林。

そんな変哲のない森を一変させるのが今回の主役である雪。アルプスや火山のようなフォトジェニーなロケーションではない、ありふれた山と森に雪が舞うことでその姿は一変します。

標高が上がるごとに変わる雪の顔

武甲山の登山口である一の鳥居は標高が約500m、そこから1304mの頂上まで800mほどの標高差があり、歩を進めるごとに雪に覆われた森が見せる表情は様変わりします。

登山口付近

スタートが午前9時過ぎということもあり、登山口での積雪は靴が半分埋まる程度。先行者のあしあとはシャーベット状になり、融けているのか凍っているのかやや緊張を強いられる足下です。

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不安定な足下に気をつけながら顔を上げてみると、枝葉からこぼれ落ちる雫と雪のかけら、それらで濡れた地面が陽光に照らされてとても賑やかな風景を作っています。

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中腹

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歩を進めて中腹にさしかかると登山口より降雪量が多いからか、雪の重みに耐えかねた枝からドサッと塊が落ちてきます。時には枝ごとへし折れて落ちてくることもあり気が抜けませんが、この時に舞う雪煙が木漏れ日に煌めく様子についつい足が止まります。(とはいえ、予想通りに落ちてくるわけではなく写真に収めるのはなかなか難しい)

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足下に目を向けると登山口付近のような土の露出もなくなり足にも雪を踏んでいる感触が伝わってきます。そして白一色になる稜線とも違い、木漏れ日と雪の照り返し、湿ったことで色が濃くなった葉や苔と意外にもカラフルな世界が広がっていました。

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頂上にて

山頂付近は木々が少なくなることと標高があいまって、すねが中程まで埋まるほどの雪の深さ。武甲山の採石場の直上にある展望台は北側に開けていることから、木の枝は白く雪化粧をしたまま。視線を先へ送るとこちらも真っ白な浅間山が聳え、さらに奥へと視線を移せば雲の合間にわずかながら北アルプスの山々が顔を出していました。

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山にはいくつもの顔がある

雨ではなく雪。おまけに快晴と「雨にうたえば」なんてシリーズとしては番外もいいところですが、季節や天気、そして同じ日の中でも標高や斜面の向きが変わるだけでさまざまな顔があることを改めて感じる一日でした。

コロナ禍が続き、なかなか名所と呼ばれる場所へ出かけるのも難しい日々が続きますが、いつもと違った天気を選んで近くの山や森へ出かけてみると、今まで知らなかった一面を見つけられるかも知れません。

低山とはいえ滑りやすい道を歩きます。それなりのご用意を。

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この記事を書いたライター

タケル

ペンタファンの運営メンバー(編集長)です。作例写真の撮影から記事の執筆、運用を行なっています。山に登ったり燻製を作ったりネコを撫でたりするブログを書きながら(SpaceFlier)急に真顔で写真を語り(Imaging World)ます。