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紅葉の森でカスタムイメージの組み立てを考える ─ 写真の色作り

公開日:2020-12-06 ライター:ペンタファン編集部 カテゴリ:撮影に役立つ話

つるしの色から一歩踏み込んでみる

ペンタックスのカメラの特徴のひとつカスタムイメージ。いわゆるカメラに搭載された画作り機能ですが、ベーシックな「鮮やか」「ナチュラル」「人物」「風景」などに加えて、「雅」や「ほのか」に「銀残し」など特徴的なものまで多彩で考え抜かれたキャラクターが揃っています。

デフォルトから場面に合わせて調整することでも十分に綺麗な色を作ってくれるのが魅力ですが、色相・調色とホワイトバランス(とその微調整)を組み合わせることで驚くほど画作りに自由度が得られる奥深さがあります。ペンタファンでカスタムイメージ作例をコツコツと積み上げているのも、そんな奥深さを伝えたいということと、それ故にどんな設定でどんな画が得られるのかというカタログを作りたかったという想いからです。

さて、カスタムイメージは奥深いといってもなかなかイメージを掴みにくいと思いますので、今回はペンタファン編集部の2人が紅葉の山を歩きながら、どんな風にカスタムイメージで画を作っているのかをまとめてみたいと思います。

ロケーション

今回は埼玉県横瀬町にある二子山にやってきました。道の駅 果樹公園あしがくぼから直接登山道に入れるアクセスの良さに加えて、渓流に杉林そして広葉樹の原生林と風景のバリエーションに富んでいることも魅力の低山。ペンタファンのカスタムイメージ作例にもたびたび登場しています。

動画の中で紹介した写真をもとにペンタファンの二人がどのようにカスタムイメージを使用しているかを解説します。

その前に……

味の決め手は色相(調色)とホワイトバランス

私たちがどのようなことを基準にしてカスタムイメージで作り込んでいるのかをご紹介しておきます。あくまで「私たち」なりの基準です

カスタムイメージ構築のツボ

できあがる写真を料理に例えると、どのカスタムイメージを選ぶかは料理のジャンルに相当します。ここは和食、こちらは中華、あそこなら洋食でといった具合に。そんな視点で分類したのが以下のグループ。

ci-grouping.jpg
  • ニュートラルなグループ:ナチュラル・フラット
  • ブルー・イエローが強いグループ:鮮やか・風景・ポップチューン・ほのか・銀残し
  • マゼンタ・グリーンが強いグループ:人物・雅・リバーサル

そしてそれぞれのカスタムイメージの味の決め手、つまりダシやスープにあたるのが色相(調色)とホワイトバランスの組み合わせ。大きな方向性はグループで決め、味付けのベースは色相とホワイトバランス、味の濃さやスパイスになるのが彩度やコントラストとイメージしています。

ちなみにこの3つのグループのうちブルー・イエローのものとマゼンタ・グリーンのものはそれぞれ補色にあたる関係の色相が強調された味付けになっています。補色を活かして絢爛なイメージを作るのか打ち消して渋みを出すのか、この自由度の高さがカスタムイメージの魅力です。

wbhex.jpg

図で表すとこういう形。カスタムイメージの色相や調色で出てくる偏りをWBの微調整でさらに強調したり打ち消したりすることで様々な色のバランスを作ることができるわけです。(WB自体はグレーを作るためにコントロールし、微調整とカスタムイメージのカラーコントロールを組み合わせるイメージです)

例えば森や植物などの緑が多い被写体に銀残しを使うと非常に渋みのある仕上がりになるのに対し、青の成分が多い被写体では青が突出して強く出ることでパートカラーのような仕上がりが得られます。

作例

_K1_9343_pfs.jpg
CI:ほのか|WB:6700K M3A1|彩度:2|調色:オレンジ|キー:2|コントラスト:0|ハイライト:2|シャドー:-1|ファインシャープネス:1

薄曇りの森の柔らかな光と紅葉の色味を引き出すためにカスタムイメージはほのかを選択しました。若干オレンジからイエローにかけての色味が出やすい特性をさらに強調するために調色でオレンジを重ねています。調色を重ねたことで生じる色被りをWBの微調整にマゼンタを加えることで打ち消しながら全体を暖かみのある色調に調整しています。

_K1_9672_pfs.jpg
CI:銀残し|WB:曇天 M3B4|彩度:4|調色:イエロー|キー:-4|コントラスト:-1|ハイライト:0|シャドー:-2|ファインシャープネス:-1

森の中に人知れず流れ落ちる滝と冷たい水に洗われる硬質な質感にカスタムイメージは銀残しを選びました。左奥から射し込んでくる光の暖かみを残すために調色にイエロー、ホワイトバランスは曇天を選択し、暖色により過ぎる画面を整えるために微調整にブルーを加えることでシャドー部に青味を与えてバランスを取っています。

その場で色を作れることの強み

色相や調色とWBの調整によってカスタムイメージがとても柔軟に色を作れるツールということをお伝えしました。撮影のインスピレーションを受けたその場で画を作りこめる自由度、その楽しさを伝えていけるようにペタファンではこれからもカスタムイメージ作例を充実させていきますのでお楽しみに!

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この記事を書いたライター

ペンタファン編集部

PENTAXの一眼カメラ、手に握ってファインダーを覗けばやっぱり楽しい。一緒に沢に落っこちたり、泥にまみれてくれるそんなカメラが楽しくないわけない。そんな楽しさ・面白さをシェアしたい、そんな場所がペンタファンです